HA10miniRev1基板取説
MLKWY industry名義で頒布していた基板を手直しして新たに頒布したものが, 今回のHA10miniRev1基板となります.(Rev1.1以降についても,この取説を参照してください.)
回路的には前の回路と同じですので,調整方法などは前の取説を参照してください. ここでは変更点を含めた新しい部品表と組み立て時の注意を説明します.
HA10mini自体については,こちらの紹介記事を参考にしてください.
外観
表 |
裏 |
Rev1.1もほぼ同様です.初段トランジスタと終段トランジスタの配置をいじって Rev1.0よりは作り易くしたつもりです.
Rev1.2はさらに作り易く,微妙な改良を加えたものです.
表 |
裏 |
あとは微妙に二階基板のパターンに修正を入れ,チャンネルセパレーションが多少は上がったはず…という微妙な変更があります.
回路図
Rev1.1
訂正 Rev1.1では抵抗の番号が一部変更になっているのを忘れていました. R37,R38が5Ω,R39,R40が10Ωと回路図が正しくなっています. 下記部品表はRev1.0の番号のまま記載していたので注意してください. 多分間違えても動きますが^^;
13/08/05 追記
Rev1.1以降もRev1.1と同じ部品番号になります.組み上げた時に,一階基板は綺麗にL/Rチャンネルが線対称に配置されるのが正解です. 二階基板も基本的にはL/Rチャンネルが線対称ですが,一部離れている抵抗があるので,完全ではないです.
部品表
基板一枚分(ステレオ分)の部品一覧です。部品番号 | 部品 | 数 | 入手先 |
C1,2,4,5(Rev1.0) |
フィルムコンデンサ 実装しません |
4 | |
C3,6 |
フィルムコンデンサ 0.1uF 積層セラミックコンデンサはだめです. 表面実装も使えるようにしました. リード品の場合は高さに気をつけてください. ニッセイMMT,パナソニックECPUなど利用可 |
2 | ビスパ マルツ 千石 秋月 |
C7,8 |
電解コンデンサ 2.5V以上 470uF以上推奨 Φ10.5mm×13mm程度まで使用可能 種類のおすすめは下記参照 |
2 | マルツ 千石 三栄 |
R1-4,23-26 | 抵抗 100Ω 1/8W以上 | 8 | ビスパ マルツ 千石 |
R5,6,27,28 | 抵抗 390Ω 1/8W以上 | 4 | ビスパ マルツ 千石 |
R9-12,31-34 |
抵抗 2.2Ω 1/4W以上 2Ω付近なら大体OK Rev1.1で終段3パラ化する場合にはR7,8,29,30にも必要. |
8 | ビスパ マルツ 千石 |
R13,14,17,18,35-38(Rev1.0) R13,14,17,18,35,36,39,40(Rev1.1以降) |
抵抗 10Ω 1/8W以上 | 8 | ビスパ マルツ 千石 |
R15,16,39,40(Rev1.0) R15,16,37,38(Rev1.1以降) |
抵抗 5Ω 1/8W以上 4.7ΩでOK |
4 | ビスパ マルツ 千石 |
R22,44 |
抵抗 10Ω 1/4W以上 こっちのほが特性いいです. |
2 | ビスパ マルツ 千石 |
R19,41 |
半固定抵抗 500Ω 1/12W以上 縦型リード品 電源電圧を変更しなければ300Ωや200Ωでも多分OK |
2 | マルツ 千石 |
R20,21,42,43 | 抵抗 2KΩ 1/8W以上 | 4 | ビスパ マルツ 千石 |
R45,46 | 抵抗 1KΩ 1/8W以上 | 2 | ビスパ マルツ 千石 |
R47 |
抵抗 1608サイズくらい LEDの電流制限用です.細かいことは旧基板取説参照のこと |
1 | マルツ |
Tr1,3,6,8,10,12,14,16,18, 20,22,25,27,29,31,33,35,37 |
トランジスタ 2SC4116 SC-70のなら置き換え可能だと思われます. 二階基板は2SC3325を使うと最高のパフォーマンスになります. Rev1.1以降は二階がSC-59用パターン×3になってます.終段3パラ化する場合にはSC-59のトランジスタ×6が必要.下記追記参照 |
18 | 秋月 マルツ サトー電気 |
Tr2,4,5,7,9,11,13,15,17, 21,23,24,26,28,30,32,34,36 |
トランジスタ 2SA1586 SC-70のなら置き換え可能だと思われます. 二階基板は2SA1313を使うと最高のパフォーマンスになります. Rev1.1以降は二階がSC-59用パターン×3になってます.終段3パラ化する場合にはSC-59のトランジスタ×6が必要.下記追記参照 |
18 | 秋月 マルツ サトー電気 |
Tr19,38 | J-FET 2SK170 | 2 | 秋月 マルツ |
VR1 |
9mm角ボリューム 20KΩ FG端子付き |
1 | ビスパ |
φ3.5mmジャック 金属ケースに入れる場合はこっち. 最近は,これがおすすめ. |
2 |
マルツ(10個入りしか無いですが,安いし,普通の基板に刺さるので便利です.) ビスパ |
|
SW1 |
2回路波動スイッチ 上側の足二本を切り落として使います. トグルタイプでもOKです,使いやすい方でどうぞ |
1 | マルツ |
LED1 |
LED 3mm 赤・黄緑・黄色・オレンジあたりなら何でもOK. ビスパの青はだいたい使えるみたいです. |
1 | マルツ 千石 秋月 ビスパ |
CN1-4 |
2×2ピンヘッダ 長いものから適当に切ってください. |
4 | マルツ 秋月 千石 |
CN5,6 |
2×5ピンソケット 真ん中の二本の端子を抜いて使います. |
2 | マルツ 秋月 千石 |
CN7,8 | 1×4ソケット | 2 | マルツ 秋月 千石 |
CN9,10 | 1×4ヘッダ | 2 | マルツ 秋月 千石 |
電池端子 5mm×15mmくらい リン青銅板や白銅の板から切りだしてください. 強度が心配ですが,タカチのケース用のプラス用の物も使えるみたいです. |
4 | マルツほか | |
テスト端子 | おこのみで | 千石 マルツ |
とりあえず抵抗はマルツのLMFQ,ビスパのLGMFS50シリーズがおすすめ. 音質に影響があるのは1KΩと2KΩが集中的なのでそこだけ気にするだけでもいいかもしれません.
ボリュームはビスパのFG端子付きのものを用意して,FG端子の外側の方だけ折りとってください. 真ん中の端子だけ穴をあけてあります. ちなみにニッパなどで切るとニッパを痛めるのでラジオペンチなどでおるのがおすすめです.
電解コンデンサはKZHかMH,KTがHA10miniらしい音になります. けど,オーテクのヘッドホンだと高音がきつくなりすぎるかもです. そんな時はKYやLZHなどがおすすめです.完成版はLZH470uFを採用します.
追記
トランジスタは型番指定していますが,基本的には置き換えて問題ないはずです. 特に1階基板は他の種類を試していないので,もっといい組み合わせがあるかもしれません.
問題は2階基板で,今のところ2SA1313/2SC3325よりも性能がいい物を見つけられていません.基本的には,パッケージが大きくて,PcとIcが大きい物のほうがいいようです.
2SA1313/2SC3325はマルツで売り切れになってしまっているようなので,とりあえず組み立てたい場合には,秋月の2SA1162/2SC2712でいいと思います.これでも十分な性能が出ることは確認してありますので.
終段に2SA1586/2SC4116(SC-70)は乗ると思いますが(試してない),いまいち性能が出ないのでおすすめできませぬ.
12/02/02追記
Rev1.3からPNPトランジスタのシルクに斜線を入れました.斜線シルクを頼りにハンダ付けすると間違いが少なくなると思うので活用してください.
各バージョン共通の注意点
・ボリュームのFG端子は熱容量が大きいので,50Wとかの太いコテでさっとはんだ付けしないとプラスチック部分が溶けてしまいます.12/02/02追記
・推奨ケースのTC2に納める場合には高さがギリギリになるので,二階基板に搭載する部品の足は予め基板ぎりぎりの所でカットした上ではんだづけすると安心です.
Rev1.0注意点
・メイン基板の半固定抵抗がトランジスタに近いです.注意して実装してください.・トランジスタのパターンに近接しているところがあります.ブリッヂしないように注意してください.
正直設計ミスです… 作り易くしたつもりでしたが,ほとんど変わらないような感じになってしまいました. 頑張ってくださいとしか言いようが有りません^^;
Rev1.1注意点
・終段トランジスタが今までは2パラでしたが,3パラにできるようにパターンが引いてあります. 2パラで十分だとは思いますが,3パラ化したい方は合わせて部品を実装してください.・電池端子の長穴がスルーホール処理されませんでしたorz ただ,基板の強度があるため,片面だけのハンダ付けでも問題なさそうです.なので不具合とはしませんでした.
Rev1.2注意点
今のところ特に無しRev1.3注意点
今のところ特に無し調整方法
Rev1.2以前はC78基板の取説を参照してください.ただ,やることとしては下記Rev1.3のものと同等です.
Rev1.3基板では,バイアス調整を楽にするためのスルーホールを作ったので,テスターで簡単にバイアス電流計測ができます. バイアス電流の測定スポットは右上図の黄緑色の線でペアを示している四ヶ所になります.
このスルーホールペアの間に右下図のように電圧計測モードに設定したテスタを当て,終段バイアス電流を計測します. 図のように外部から電源を供給して(bispaキットなら電池ボックスを使うなど),メイン基板に乗っている半固定抵抗を回して, バイアス電流が12.5mA(2Ωの時にテスタの電圧表示が25mV)位になるように調整すると一番良い動作領域になります. 一箇所の調整が終わったら,念の為,同じチャンネルの反対側も同じ電流値になっているか計測してください. もし,ここが違っているようであれば,どこか回路のミスがあるはずです.
オフセット調整はこれまでと同様の方法でおこなってください.
DCオフセットを減らすためには
出力のDCオフセットが出てしまった場合には,上記の調整で修正できますが, 部品の選別を行うことで,出来るだけオフセットを小さくすることができます.オフセットを減らすのに最も有効なのは,各抵抗を選別し,ペアの値を揃えることです.揃えるべきペアは
- R13/R14
- R15/R16
- R17/R18
- R1/R2/R3/R4
- R5/R6
bispaやマルツの0.5%抵抗を推奨していますが,実はこの抵抗,実効精度は1%程度,時々それすらはずれているものもある,というものです. ハズレを引いてしまうとそれがオフセットの要因になるので,サボらないで選別するとよさそうです.
もうひとつ選別するべきものは初段とカレントミラー部のトランジスタですが,経験上,標準部品である2SC4116/2SA1586はそれぞれでのバラつきが少なく, また,hFEよりもVBE-IC特性のバラつきのほうが大きいようなので,選別は難しいです.そもそも小さくて,何かしらのジグを作らないと 測定することすらできません.よほど気が向いてがんばろうという人以外はしなくてよいでしょう. ちなみに,自分はまだしたことありません.