色んなところで色んな人が「日本の1/80サイズの鉄道模型をHOゲージと呼ぶのはけしからん!」と語っているのはよく見るし、とても長い歴史的経緯まで含めた解説をしてくれている先人は多数おります。ただ個人的にもっと端的にまとめた記事がほしいなぁと思ったのでまとめます。

先に結論

  • 1/87の「縮尺」を示すのが「HO」なので、日本型1/80は縮尺が合わないのでHOではない
  • 軌間の意味の「ゲージ」と組み合わせた「HOゲージ」という使い方も本来はNG
  • 1/80の模型を指す統一名称は規格化されていない

正しいもの

「HOスケール」が正しいです。「HOゲージ」も間違いです。もともと、HOというのは1/87模型の縮尺を示す用語であって線路の軌間を示す用語ではないので、軌間を示す「ゲージ」という言葉と組み合わせないのが正解です。※後述しますが「HO」と「H0」の揺れの問題は残ります。

解説記事でHOのことを「3.5mmスケール」という表現をされているのをよく見ますが、これはゲージとは全く関係なく、実車の1フィート(304.8mm) が模型で何mmになるのか、という表現方法になります。304.8mm / 3.5mm = 87.0857… となり、これが縮尺の1/87の元になっています。

Nゲージは「9mm軌間の線路に乗せる模型」という意味で作られた言葉なので「スケール」ではなく「ゲージ」を使うのが語源的には正解です。

これらはアメリカの鉄道模型団体であるNMRAがS1.2にて規格化しているもので、Nにはフィートの割合表現がないことも表からわかります。(NMRA STANDARDS S-1.2 Standards for Scale Modelsから一部抜粋のうえ引用)

ただし、ヨーロッパの鉄道模型団体MOROPが決める規格であるNEM 010では、フィート割合表記は規定されず、ダイレクトに縮尺が決められており、Nについても縮尺として決まっています。(Standards for European Model Railroads Scales, Nominal Sizes, Gaugesから一部抜粋のうえ引用)

それで日本型の1/80は?

決まった名称なし、というのが結論です。個人的にはこれが一番の問題だと思うポイントです。アメリカとヨーロッパの規格について説明しましたが、このように規格を制定する団体が日本にはありません。鉄道模型趣味誌(TMS)の投稿・読者層が事実上そのような活動をしていたとも言え、そのなかで提唱された「16.5mmに乗るものは16番と呼ぶ」というものが今ではHO以外の呼び名としては一番浸透しているように思われます。このような状況なので、メーカとしても正式な名称とは言えない16番を全面には出しにくいので、とりあえず規格として互換性のあるHOを名乗っている、という状況だと考えられます。

HOとH0

実はNEM規格では1/87スケールのことは「えいちおー」ではなく「えいちぜろ」として定義されています。さきほど引用した表の上にわざわざ注意書きがあります。同様に1/45スケールは「おー」ではなく「ぜろ」です。このあたりから1/45…から転じて32mmゲージを「ゼロ番」と呼ぶ文化がもともと日本にはあり、その流れから16番という言葉も受け入れられやすかったものと想定しています。なお、NMRAではHOは「えいちおー」ですし、Oは「おー」で1/48スケール31.75mmで定義されており、NEMとは異なっています。

おまけ

個人的には日本型1/80をJスケールというのはわかりやすくていいんじゃないかなと思うんですが、提唱者が提唱者なので浸透しないですね。16番でもいいと思いますが、英語表記に難ありな印象です。

それはそれとして、日本型の1067mm軌間の車両を1/87で作った12mmゲージの車両をHOjなどというのはわざわざ新しい規格を作らなくても…と思います。NMRAには当該規格がありませんが、NEMでは実車の軌間が850~1250mmの場合には1/87スケールで12mmゲージになり、そのことを「H0m」と表現すると規格化されています(先の図に書かれています)。日本でもこれを採用すればよいだけかと思っています。ただ、「えいちおーえむ」じゃなくて「えいちぜろえむ」なので、現代日本で浸透している「えいちおー」表記ではないのが問題です。その意味ではわかりやすいようにと言って「HOm(えいちおーえむ)」としてしまうとそれこそ存在しない規格を作ることになってしまうので、HOjと変わりません。

そんなこと言ってないで、日本もNMRAやMOROPのように規格制定をやる団体ができてきちんとメーカ・ユーザ参加し、みんながそれに則るようになればいいのになぁと思います。

日本と同様に独自な寸法のイギリス型(1/76スケール16.5mmゲージ)は「OO(だぶるおー)」として普及させている団体がイギリス国内にあるようです。これがどの程度の影響力をもっているのかわかりませんが、規格としてはかなり薄い内容で、NMRA、NEMとは性質が異なるように見えます。

NMRAにもOOスケールの規格はあるのですが、線路はOn3(914mmゲージの1/48スケール模型)で使われる19.05mmゲージであり、16.5mmではなくイギリス型とは異なっています。ただ、注意書きでイギリス国内で扱われるOO、OOの厳密モデルであるEMゲージ(1/76スケール18.2mmゲージ)およびP4(1/76スケール18.83mm)について触れられています。その意味では、NMRAにたいしてロビィイングして1/80 16.5mmをJとして載せてもらうのもありかもしれません。

まとめ

1/80の模型がHOではないのは明確ではあるものの、かと言って適合する「規格」が存在しないので良い呼び名がないというどうしようもない状況だと思います。なので自分は面倒でなければ1/80スケール16.5mmといい、面倒なら16番と呼ぶことが多くなっています。本文中にも書きましたがJが浸透してくれればもっと楽なのになぁ。

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