消費電力がNよりも大きくなりがちなHO・16番の車両を快適に走行させるためには線路の電気抵抗をできる限り低くしてあげることが重要です。

現在、日本で一番簡単に入手できて、かつ安く、ラインナップも充実しているのはKATOのHOユニトラックなのですが、実際に車両を走らせてみるとまともに走らないといっても過言ではないほど通電性能が悪い(=電気抵抗値が大きい)です。実際、先日参加した運転会(雪奈會)の大レイアウトでは補助フィーダを外し、レール1周分の抵抗値を計測してみるとなんと120Ωもありました。確かに一周で100本以上のレールを使う大円周ではありますが、それでも120Ωもあると12Vをかけてショートさせても0.1Aしか流すことができず、全く走行になりません。

このようにユニトラック、より正確にはユニジョイナーの性能が悪いことをなんとかするため皆さん多数のフィーダを挿入してしのいでいるパターンが多いかと思います。

KATOのHOユニトラックはレールの細さの割に抵抗値が低く、実はエンドウのレールよりも電圧降下は少ないです。おそらく銅の割合が多く、だからこそ色味が真鍮よりなのだろうと思われます。

では何が原因でこんなにも通電性能が悪いかというとジョイナーが全てです。もちろんポイントの内部通電機構などもあるのですが、全レールの接続部である全ジョイナーの性能が悪いことが支配的です。

鉄道模型レールのジョイナーと同じような機能をもつ電気接点用コネクタではワイピングといって差し込むときに表面の汚染を拭い取る機能が組み込まれています。汚染には単純な汚れだけでなく、通電部分の表面が酸化・硫化皮膜も含みます。そもそも酸化・硫化しにくいようにメッキ処理を施す予防も多くの場合取られています。ワイピング効果を期待するにはある程度の差し込み圧力が必要となります。

ところがKATOのユニジョイナーはレールを側面から押さえつける方向で、しかもフトコロが深くバネ圧が弱くなってしまう構造になっており、十分なワイピング効果を得られません。これがユニジョイナーの性能が悪い最大の原因となります。

よく単純に抵抗値を比較している例を見かけますが、酸化・硫化皮膜の通電は複雑な現象を伴い測定電流によっても抵抗値が激しく変化してしまい、あまり正確な計測ができているとは言えないでしょう。また、計測しながらレールを揺らしてみると、こちらも大きく抵抗値が変わることが計測できます。車両が走行すると、机や床の凸凹を拾ってレールは継ぎ目でカタカタ動いてしまいますし、このように揺れるだけでも抵抗値が変化するというのは実用上も困りものです。

ちなみに、単純に接触圧力なのでは?という疑問もあるかと思いますが、レールとジョイナーをどちらも酸化皮膜除去剤につけて化学的に磨き上げた直後では抵抗値がぐんと下がることが確認できています。また、数日後に再接続すると、抵抗値が上がり始めるため、やはりレール素材の皮膜形成(汚染)とその除去性能が見合っていないことが主因だと考えられます。

問題児であるユニジョイナーをなんとかする方法として、レール底面と触れる部分に洋白などの帯板を挿入する方法というのが各所で紹介されています。この方法はジョイナーとレールの少ない隙間に金属板をねじ込むことで圧力を上げ、強力なワイピングが得られますし、その後の接触も良好です。この方法は加工も簡単ですし、効果も絶大なので基本的には推奨できる方法です。ただ、帯板がずれないようにするためジョイナーを折り返すようにすると一個のジョイナーでかなりの長さが必要になってしまい意外と費用がバカにならないこと、道床のプラ部分と若干干渉するため規格より全長が長くなりがち(246mmなら246.5mmとかになる)な点が雪奈會では無視できません。

そこで色々試した結果、TOMIXのNゲージ用のシステム線路であるファイントラック用のジョイナー(以降FTジョイナー)を使う方法です。このジョイナーがKATOのHOのユニトラックレールであれば無改造でそのまま利用でき、また電気的性能も非常に優秀で、かつ安価に大量入手できるという、ほしいものすべてを持ち揃えています。ただし、ユニトラックの線路断面形状がHOとNで異なるためNには利用できません。ユニジョイナーの樹脂部の上部を軽く切り飛ばしてやればFTジョイナーが刺さるようになるのですが、そのままではレールを切り離したときにどちらにFTジョイナーが残るか運任せになってしまいます。そこでユニジョイナー互換形状で金属部をFTジョイナーに置き換えるものを3Dプリントしてみました。もともとユニジョイナーは繰り返し爪に力がかかる部品であることから軟プラで成型されているのもあり、柔らかめの樹脂ということでいつも利用しているFFF式のプリンタでプリントしています。FTジョイナーがハマる部分には爪がかかるよになっており、抜け止めが働き通常のレール分解方向にはFTジョイナーがはずれないようにできます。

FTジョイナーとユニジョイナーは単体比較でも10倍以上の抵抗差がありレイアウト1周分ともなるとかなりの差が出ます(ユニジョイナーは個体差が大きいせい)。

来週の雪奈會にて一周分まるっとFTジョイナーに置き換えてみようと思うので、果たして一周ででの程度の改善結果があられるか楽しみです。

※各種計測方法や計測結果についてはそのうちまた別途まとめたいと思います。⇨まとめました

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