最終更新2010/2/9
動作報告を追加
動作報告を追加
HA10基板ver.C77説明書
C77で予約、自家通販してくださった方、ありがとうございました。結局頒布までにずいぶん時間がかかってしまいましたが、安定して動作できるかとおもいます。
概観
表 | 裏 |
回路図
パッチ当ての無い状態の回路図です。10/01/15に一部修正しました。Tr29が2SK170になってなければ再読み込みしてください。
部品表
基板一枚分(ステレオ分)の部品一覧です。部品番号 | 部品 | 数 | 入手先 |
C1,5 | フィルムコンデンサ 1uF カップリング用 | 2 | マルツ |
C2,3,6,7 | フィルムコンデンサ 4700pF | 4 | マルツ 千石 |
C4,8 | フィルムコンデンサ 0.1uF | 2 | マルツ 千石 |
C9,10 |
電解コンデンサ OSコン ニッケミKZE等 2.7V以上 1000uF以上推奨 |
2 | マルツ 千石 三栄 |
JP1 | 適当な線材 お勧めは電解コンデンサの足 | 1 | |
R1-4,19-22 | 抵抗 100Ω 1/8W以上 | 8 | マルツ 千石 |
R5,6,23,24 | 抵抗 750Ω 1/8W以上 | 4 | マルツ 千石 |
R7,8,25,26 | 抵抗 1Ω 1/2W以上 | 4 | マルツ 千石 |
R9-12,14-18,R27-30,R32-36 | 抵抗 10Ω 1/8W以上 | 18 | マルツ 千石 |
R13,31 | 半固定抵抗 500Ω 1/12W以上 | 2 | マルツ 千石 |
Tr1,3,6,8,10,13,15,17 Tr18,20,23,25,28,31,34,36 |
トランジスタ 2SC1815など | 16 | 秋月 マルツ |
Tr2,4,5,7,9,12,14,16 Tr19,21,22,24,27,30,33,35 |
トランジスタ 2SA1015など | 16 | 秋月 マルツ |
Tr11,29 |
J-FET 2SK170 (先日まで2SK117でしたが170が正解です) |
2 | 秋月 マルツ |
VR1 | 9mm角ボリューム 20KΩ | 1 | マルツ |
φ3.5mmジャック | 2 | 秋月 マルツ | |
テスト端子 | 3 | 千石 マルツ |
フィルムコンデンサはカップリング以外は これが安くて入手しやすくてお勧め。
カップリングコンは1uFと大容量が必要なので、 これの1uFとか これがお勧め(らしい)です。
接続する機器のオフセットが無いと保証できる場合はカップリングコン無くてもいいですが、 iPodにドック端子で接続するときなどは必須らしいです。持ってないので詳しくは知らないですが。
ボリュームはリンクマンのがお勧めです。
抵抗はこのシリーズとかREXとかREYとか。好きなものをどうぞ。
1Ωはなかなか手に入らないので適当に済ませてしまうのが吉かと思います。
2.2Ω程度に変更してもいいので好きなものを使ってください。
あと、750Ωが手に入らない場合は820や860Ωなど適当に変更してかまいません。 たぶん1KΩ位にしても問題ないはずですが試してはいません。
マルツのニュースによると秋葉原店にはLMFQシリーズの750Ωとか1Ωとかが入ったようですね。
ちなみにトランジスタの部品番号がいくつか飛んでるのは仕様です。勘違いしました爆 なので気にしないでください。
トランジスタのランクは特に指定しません。それよりもhFEをそろえることを気にしたほうがよいでしょう。
ただ、ローノイズ版は効果ある可能性が高いですが、自分は貧乏なんで試せてません爆 というか数が多いのでそろえるのが大変だったりしますが、Tr1,2,3,4,9,10あたりを変えると効果的かもしれません。
以下パッチ当て部品一覧です。
大体の場合は必要ないと思いますが、パッチを当てることでさらに安定して動作できるようになります。
最大音量付近で発振する場合には必ずパッチを当ててください。 発振しているときは「じゅるじゅる」というような音が聞こえると思います。
部品 | 数 | 入手先 |
抵抗 10KΩ 1/8W以上 | 2 | マルツ 千石 |
抵抗 200〜240Ω 1/8W以上 | 2 | マルツ 千石 |
このほかに電源関連の部品が必要になります。
電源関連は電池ボックスとスイッチが必要で、スイッチは2回路必要になります。
またケースはタカチのKC4-10-8*に電池ボックスとしてタカチのMD-2を背面に取り付けるといい感じになると思います。
ただこの組み合わせだとポータブルできないのですが^^;
ちなみにHA10をユニバーサル基板で組んだものは上記の組み合わせでこのように収まっています。 今回の基板もこれと同じように収まるサイズになっています。
電源の例
■電池電源の場合特に分圧回路などは組まずに電池直でもかまわないでしょう。±の消費電流は大きく変わるものではないので、 電池の片減りも問題になるほど起きないでしょう。ちゃんと充電された電池なら電池電圧は20mVも誤差がないはずです。
もちろんスイッチは連動形の二回路タイプです。
■AC電源の場合
とりあえず一番簡単な例です。この回路だと電圧の精度が高くないのでアンプの出力にオフセットが出てしまう可能性があります。 なので気軽に済ませたい場合は7805/7905のペアで電源を作るほうをお勧めします。
この回路図のトランジスタは2SA1358/2SC3421位で問題ないでしょう。 ツェナーダイオードは5.6Vで。こうすることで±5Vの電源になります。
トランスは±6Vの200mAで十分でしょう。自分は6V200mAがふた巻きのトランスを使って作りました。
■電源ランプの取り付け
どちらの場合もV+とV-の間にLEDと抵抗をつなぐようにしましょう。 LEDの抵抗値の決め方は秋月のサイトでも参考にしてください。 まぁ単純に1KつけとけばOKでもいいですが。 ただ電池の場合は電源電圧が低いので青とか白とか信号緑とかは厳しいかもしれません。 AC電源の場合には電圧が高くなると思うので念のため抵抗の計算をちゃんとやってください。
組み立て注意事項
・電源の取り方標準仕様の電源は乾電池2本の±1.5(1.2)Vです。C9,10のわきにあるV+、V-というスルーホールにテスト端子を立ててそこから給電してください。 また、GNDはJP1のすぐわきのGNDと書かれたスルーホールに接続してください。
電圧の上限はC9,10にもよりますが、たぶん±4.5Vかけても問題なく動くはずですが、ちゃんとチェックしてません。
そもそも±1.2Vで十分よく動くはずで、出力振幅は±0.9V近く取れるはずです。
・ジャンパ処理
JP1はジャンパです。コンデンサの足などでJP1と書かれた両側のスルーホールを接続してください。ここのラインはGNDになるので、あまりに細い線は控えましょう。
・スルーホールの処理
格安基板屋で作ってるため、時々半田カスが残っていたりするようです。そのときは部品の足でつつけばとれます。
・コネクタの処理
コネクタはそのままだと位置決めピンが邪魔でおくまで刺さりません。位置決めピンの段になってる部分で切断するとちょうどよくなります。 わからなかったら全部きってしまってもかまいません。
・部品の選別
特に必要ありませんが、Tr1,3とTr2,4のペアはそれぞれ特性、特にhFEがそろっていることが望まれます。また反対chのTr18,20とTr19,21も同様です。 根性がある場合は次のトランジスタもペア取りしましょう。Tr5,7/Tr6,8・Tr12,14,16/Tr13,15,17・Tr9/Tr10
調整方法
この基板は片chにつき一箇所の調整が必要となります。それがR13,31です。この半固定抵抗は出力のバイアス電流を可変するためのボリュームです。電源をはじめて入れるときは左いっぱいにまわしておいてください。 このとき抵抗値は最大となり、バイアス電流は最小となります。
この状態でR7,8,25,26の電圧を測り、終段のバイアス電流を計算します。オームの法則から、1Ωなので単位をVとAで置き換えるだけですね。
初期状態では0mAのはずです。ここからボリュームを右に回していくとだんだん電流が増えるので最低でも10mA流すようにしましょう。 最大は50mA程度が安心です。もっと流しても大丈夫だと思いますが、発振するケースがあります。
ひとまずR7で10mAなのを確認したらR8でもほぼ10mAとなっていることを確認します。もし0mAだった場合には電源を落として半田不良を探してください。
反対chについても同様です。
また、ボリュームをひねっても変化が無い場合にははんだ付けミスor部品の間違えが考えられます。R5,6,23,24の両端電圧を測って約0.7V程度になっているか確認してください。 ここが0.7V程度ある場合には終段のはんだ付けが怪しく、無い場合にはそれ以外の部分となります。
以上のように調整して出力オフセット電圧が±10mV以内に収まっていれば正常に動いているはずです。若干この枠からはみ出る程度でも問題ないですが、 出力カップリングコンデンサを入れたほうがよいかもしれません。普通に作れば±5mV以内に収まるはずです。
もし出力に大きなDCオフセットが出ている場合にはどこかでミスをしているので探してください。
動かないときは
部品数が多いのでミスってしまう場合もあるかと思います。うまく動かないときは次のことを確認してみてください。 以下はすべて片chの部品番号で説明しています。チェックするときはそれぞれ回路図をみて置き換えてください。1.R1〜R8、R11〜R12、R14〜R18の両端電圧がR13を可変することで可変するかどうか
R13はバイアス電流を変更します。そのため上述の抵抗に流れる電流はすべて変わるはずで、当然電流が変われば電圧が変わるはずです。 チェックが終わったらR13は左目いっぱいにしておきましょう。
2.R12,14,15,16,17,18の両端電圧、つまりそれぞれに流れる電流がすべてほぼ同じかどうか。
ここはカレントミラーを形成しているので上述の抵抗にはほとんど同じ電流が流れているはずです。 この部分の抵抗の電圧を測りながらR13を右に回して1mA(10mV)になるようにしてください。これはR5,6の値によっても変わるので目安ですが、 通常はこの値でよく動作するはずです。この値にしたときに電圧が等しいか確認しましょう。 もし同じでないならTr11,12,13,14,15,16,17とそれぞれの抵抗付近が怪しいと思います。
3.R1,2,3,4の両端電圧、つまりそれぞれに流れる電流がすべてほぼ同じかどうか。
これも同様です。ただし、トランジスタのペアリングによっては誤差が大きかったりします。計測するときは2.の調整済みであることが前提です。 0mAとか明らかにおかしい場合以外は多少の誤差は気にしなくてもよいでしょう。普通なら0.5mA(50mV)程度になるはずです。1と同様にR5,6に依存します。
4.R5,6の両端電圧が0.7V程度になっているか
ここは電流よりも電圧が重要です。終段のバイアス回路になっているのでここの両端電圧は0.6〜0.8V位になっているはずです。 若干ずれている程度であればR13によって調整できるはずです。R5とR6で0.1V以上差が出るのはおかしいと思います。
5.そもそも入力にオフセットが発生していないか
この回路は入力カップリングがついていますが、回路自体で入力にオフセットが発生してしまう場合があります。 Tr1,2のベース電圧をGND基準で計測して何mVあるか確認してください。普通はmV単位も無いぐらいかと思います。 もしここがオフセットしているようならTr1,2,3,4,5,6,7,8回りが特に怪しいです。
とりあえず思いついたところまで。この回路は基本的に調整が必要な場所は一箇所しかないのできちんと組めてれば動くはずです。
もう一度部品の確認をよぉくしてみてください。あとランドが大きくないので半田不良が無いかもよく確認してください。
パッチあて
次のようにパッチを当てると安定性が向上します。一番大きなものは入力周りです。大まかに二つあり、 1.入力端子直下を10KΩでGNDに落とす
2.入力に220Ωを挿入する
となります。
1.は写真右側部分で入力コネクタに対して図のように抵抗をはんだ付けすればOKです。大きい抵抗だとやりにくいかもしれませんが、 そこまで音質には影響しない部分なので適当な小型抵抗でもかまわないでしょう。
2.は図の左のほうで、パターンカットして抵抗をつなぎます。パターンカットするときは3mm位のドリルで貫通しない程度に穴を開けるのが綺麗にできてお勧めです。 また、ここで接続する220Ωは音質にもろに影響するので音響用やLMFQシリーズを使ったほうが無難です。図では手持ちを使ったため秋月抵抗になってますが。
追記 220Ωとしていますが、大体でかまいません。200Ω以上あればいいので200〜240Ωの範囲であれば入手も簡単でよいかと思います。
続いてボリューム回りです。ボリュームの金属部分をGNDに落とします。 図のように基板表の真ん中を通っているのがGNDなのでレジストをカッターなどではがしてそこから被膜線で配線します。 ボリューム側もあらかじめカッターなどできれいにしてからだとはんだ付けしやすいです。 もちろん熱を加えすぎるとプラ部分が融けてしまうので注意してください。
パッチ当ては以上です。
入力に基板上のコネクタのパターンを使わない場合は適宜回路図を参考にしてください。
R1,2が10KΩ、R3,4が220Ωの追加抵抗になります。
動作報告
ちょっと機会があったので周波数特性を取ってきました。 その結果、1MHz位で若干ゲインが上がってしまっているようですが、 30Hz〜100KHz位まではフラットになっていることがわかりました。 グラフを出したいんですが、計測器から取ってこれなかったのでまた後日ということで…ちなみに1MHzでゲインが上がってしまっているのはパッチあて部分が原因だと思いますが、 解析してないのでなんともいえないです。高周波のだせる発振器もほしいなぁ。
ちなみに以前ユニバーサル基板で作ったHA10を司さんに計測していただいた結果を書いておきます。
THD+N:0.009%@1KHz
最大S/N:103dB
また、実際に基板を購入された方から以下のハイインピーダンスヘッドフォンで実用音量でクリップなく使えると報告をいただいています。
HD650
K701
ER-4s
さらにオーテクなどの高効率カナルイヤホンなどでもノイズが聞こえることはまず無いようです。よかった。
その他
また、わからないこと、動作報告などあればblogやメールでお願いします。by STRV